かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第13章 望んでも・・・良いの?
『ゆぅちゃんのカレーおいひぃ~♪』
マリアがハフハフ言いながら
カレーを食べる。
いつもいつも、ピリピリと
張りつめてるワケじゃないから
いわゆる〃普段の姿〃と言ったら
こんな感じだ。
マリアがそう努めてくれてるのか?
少なくとも俺は
マリアといる時間は
そんな危機迫るような
重苦しい状態で過ごすなんてことはない。
たとえ様々な現状の話とか
今後の事を話したりしても…。
『裁判…は最悪の場合で・・・
離婚調停になるのか?』
『~~ん・・・そういうことかな。
話し合いに応じる気がない…ってなるなら
第三者機関に間に入ってもらうしか…』
ちなみにマリアの旦那との話し合いは
平行線・・・
と言うか
ろくに話し合いにもなってない。
それは
マリアをひどく苦しめる一因だ。
マリア側が弁護士に相談に行ったり
話を聞いたり、と
まだまだ準備段階なんだ。
向こうからの動きは・・・ない。
逆の見方をすれば
相手は何を考えてるか
何をしてくるのか…わからない。
そういう状況だと言う事実だけは
ハッキリしている。
俺がマリアの立場なら・・・
けっこー・・・キツイわな…
その状況…。
ホントにコレ…
マリアに言えないけど
沈黙を貫いてる旦那は
間違いなく離婚に合意していない
ワケだし
確認したが
離婚届はやはり提出されていなかった。
変な話…
と言うか、一番思いたくない話…
向こうはマリアの行方を
今も捜してるかもしれないんだ。
ろくに奥さんの交友関係にも
関心も持たなかった旦那…
普通にしてたら
捜しようがない…
マリアは
そう言ってたよな。
・・・普通にしてれば
の話だが。
そういう不安が・・・
俺でも感じてる不安を
マリアが感じてないワケは
ないと思うんだ。