かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第14章 薄汚いこと・・・
『・・・』
『…っ?!な・・・ア…ンタ!?』
ドアを蹴破って踏み込んだ俺の目に
飛び込んできたのは
仰天した様子の男・・・そして
ソイツの抱えてるモノ・・・
布団や毛布でぐるぐるに巻かれて
引きずられてる・・・マリア。
『・・・』
ベットから転げ落ちたマリアを
男が押し入れかどこかに
隠そうとしている…ってとこか
『・・・なんの…マネだよ?』
声が…震える
当然ながら
俺は頭に血が昇るのを抑えきれなかった。
『な…なんや!オマエっ!?
ドア…っ、なにさらしてんねん!
正気かっ!??』
『なにを・・・しているんだ?って
聞いてんだよ?』
俺は声の裏返ってるソイツを
ひたすら睨み付けて
土足で部屋に足を踏み入れた。
ドカドカドカ…
ガッ…っ
『ちょぉ!…おい!』
『・・・』
俺はソイツの胸ぐらを
思い切り掴みあげて
マリアから引き離した。
『ハハ…そんなムキならんといてや?!
ほんのちょっとフザケとっただけや!!』
『…っっ!!』
こんの・・・ぉ
クソッタレ・・・!
『…っ』
ドカっ…
俺は拳を振り上げそうになったのをこらえ
男を床に突き飛ばした。
『マリア・・・』
『~~っ…っ~~』
マリアは目を閉じたまま
横を向いて震えていた。
毛布からはだけた上半身が
はみ出ている…
口塞がれて声も出せず
身動きもとれず…
マリアはひたすら泣いていた。
このクソ野郎…この場で
ぶっ殺してやりてぇ
だけど…
『マリア・・・帰ろ?』
『…~っ、うっ…うっ……ゅ…ぅ…ちゃ』
マリアの拘束を解いて
体を起こし、自分の上着を羽織らせた。
マリアを立たせて
玄関に急ぐ。
『……フフッ』
!?
通り過ぎる俺たちを横目に
床に伸びてた男が笑った。