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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第3章 家出娘の正体は・・・

ガサゴソ・・・

これで……いいか?




『ホイ…着て行きな?』



俺は帰り支度(と言っても玄関に向かうだけ)
をするマリアに
パーカーを羽織らせた。


『ぁの……でも』


『昼間だし、陽も照ってるけど
さすがにそれじゃ寒いだろ?
それに…』



家どこだか知らねぇけど
さすがにそんなカッコーで歩いてたら
あやしいぞ?



『ぇ・・・と』


『それと、~それ…履いていきな?』



玄関のゴムサンダルを指さす。


『・・・』

『ないより…マシだろ?』


ブカブカの靴……よりは
サンダルのがまだ紛れそうだし。



『・・・』

『返さなくていいから』



もう、これきり
会うこともないだろうからな。



『あの…何から何まで、ありがとう』



マリアはすまなそうに
切なそうな顔して
また俺に頭を下げてきた。




『ええと…駅って……どう行けば』



『あぁ、えっとな・・・てかさ
タクシー呼ぶけど?』



住所言えば届けてくれるし
寒いしさ。

何より、ブカブカのパーカーに
ボロサンダル……
ヘンテコな格好で駅ウロウロすんの
ちと気の毒だしよ。


『・・・じゃぁ…うん』




俺はタクシーを呼んで
マリアにタクシー代を渡した。




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