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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第27章 飛べない鳥・・・



「篠宮くん・・・君さぁ」




『・・・』









上司に呼ばれた俺は

その決定を言い渡されるのを

静かに待っていた







当然のこどく…その手は回されていた




驚きはしない


以前から想定もしていれば

訴えを起こされた時点で

覚悟はしていた








「君……少し別の支社で
〃勉強〃してきたらどうかな?

向こうもやはり…こう
若い力で活性化を図りたいってね

優秀な人材を求めているし
君にとっても良い経験になると思うが?」







『・・・』





〃左遷〃って

ハッキリ言えば良いだろうが・・・





不祥事を起こすような社員を

切り捨てたくても

会社は中々そうは出来ない






無理難題を突き付けて

イヤなら自分から退け・・・と





どこにでもある

よくある辞令?












俺は黙って聞いていた



別に…異論なんてない










仕事を手放したって良かったんだし

転職するのも

異動するのも

俺にとっちゃ大差のないことだ








そう腹を決めた時と…目的が

状況が違うだけであって




俺にとっちゃ

何も抗う必要もないことだった







これ以上…無くすモンなんかない






この時の俺は


本気でそう思っていたから



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