同窓会 SN
第7章 謎解きはランチの後で1 翔
1-1
退院して1週間ほどは自宅で仕事をした。
頭を打っているので大事を取るように、
と 医者に言われていたし
大きな仕事になるはずだったクライアントには
俺から決別宣言してしまったのだから
復帰を急ぐ必要もなかった。
10日ぶりの出社は 各部署から回って来てた
企画書なんかの書類が溜っていて
目を通して印鑑を捺すだけで
午前中が終わってしまった。
午後からも それだけで仕事が終わってしまいそうな感じだが、対外的には 今週いっぱいの不在を通してるから気は楽だ。
無くした仕事の分は また来週から挽回すればいい...
こんなのは危機でもなんでもないと
自分に言い聞かせる。
軽く凹んでる
こんな時にすら 和也みたいに利き手以外も
器用に使えれば 便利なのに...なんて
不意にあいつのコトに考えをつなげてしまう自分が居て可笑しい。
ま、しあわせな記憶が身体中に残っているのだから 仕方ないよな。
プライベートの部分では この1週間の俺は しあわせに包まれ充実していたのだから。