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好き心少なからず

第13章 人が好いヒト~田口×姉ヶ崎~

「あ…ありがとう」

「ううん。こっちこそありがとう」

姉ヶ崎さんが顔を横に振って、にこっと笑った。

照れたような笑いに、胸がとくんと鳴る。

その時、僕たちの脇にバスがゆっくりと止まった。

「付き合わせてごめんね」

「いや…大丈夫」

姉ヶ崎さんはバスのタラップに足をかけてふりかえると

「田口くん、いい人だね」

そして、にこっと笑うと、僕に手を振った。

つられて振り返すと、バスは来た時と同じようにゆっくりと走り出す。

テールランプの赤い光を見つめながら、姉ヶ崎さんの言葉を思い返した。

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