
eme
第3章 街の闇
涙をふき、エメは手袋をしまう。
「では、僕は失礼します」
「ならんよ」
レブロはゴーレムをイスの隣に座らせ、自身も腰をイスに納める。
「……ふぅ……まさか本当に治してしまうとはのう…」
ゴーレムも心なしか、喜んで見える。
もっとも、表情は変わらないのだが。
「僕の先生は天才ですから、僕もこれくらいは」
「お主にそこまで言わせる先生とは、本当にすごいんじゃろうのう……何か礼がしたい」
「いえ、お礼なんて……」
「うちにはなにもないんじゃが、見せたいものがあるんじゃ。もっとも、お主には必要無いかもしれんがの」
「何でしょうか」
「おい、タンスの上の、木の箱……取れるかの」
「ヴォ」
ズシンと立ち上がると、彼には、すぐに手の届く距離にそれはある。
大きな手には似合わず、繊細に優しく木の箱を取り出し、それをレブロに渡す。
「ありがとう。……これなんじゃが」
木の箱を渡されたエメは、ホコリを被ったその蓋を開ける。
中には、白い布に包まれた黒く光る石がひとつ。
エメが持ち上げてみると、チェーンがついている。どうやらネックレスのようだ。
しばらく普通に見ていたエメだが、何かに気づいたように目を見開く。
「これは……!これをどこで?」
「それはの、何十年も昔、旅の者を泊めた時にお礼にともらったものじゃ。
とても高価なもので、
ゴーレムに関係があるものといっとったわ。
ただ、わしには使い方もわからぬ」
「……頂いてもよいのですか?」
「うむ。何度も言うが、使い方もわからん。宝の持ち腐れじゃ」
(たしかにこれは……技術者じゃないと価値もない石だ)
「ありがとうございます」
「では、僕は失礼します」
「ならんよ」
レブロはゴーレムをイスの隣に座らせ、自身も腰をイスに納める。
「……ふぅ……まさか本当に治してしまうとはのう…」
ゴーレムも心なしか、喜んで見える。
もっとも、表情は変わらないのだが。
「僕の先生は天才ですから、僕もこれくらいは」
「お主にそこまで言わせる先生とは、本当にすごいんじゃろうのう……何か礼がしたい」
「いえ、お礼なんて……」
「うちにはなにもないんじゃが、見せたいものがあるんじゃ。もっとも、お主には必要無いかもしれんがの」
「何でしょうか」
「おい、タンスの上の、木の箱……取れるかの」
「ヴォ」
ズシンと立ち上がると、彼には、すぐに手の届く距離にそれはある。
大きな手には似合わず、繊細に優しく木の箱を取り出し、それをレブロに渡す。
「ありがとう。……これなんじゃが」
木の箱を渡されたエメは、ホコリを被ったその蓋を開ける。
中には、白い布に包まれた黒く光る石がひとつ。
エメが持ち上げてみると、チェーンがついている。どうやらネックレスのようだ。
しばらく普通に見ていたエメだが、何かに気づいたように目を見開く。
「これは……!これをどこで?」
「それはの、何十年も昔、旅の者を泊めた時にお礼にともらったものじゃ。
とても高価なもので、
ゴーレムに関係があるものといっとったわ。
ただ、わしには使い方もわからぬ」
「……頂いてもよいのですか?」
「うむ。何度も言うが、使い方もわからん。宝の持ち腐れじゃ」
(たしかにこれは……技術者じゃないと価値もない石だ)
「ありがとうございます」
