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原稿用紙でラブレター

第3章 消費期限は本日中






痛いほど抱き締めてくる相葉くんの腕の中で、こっそり安堵が胸に広がった。



一人で準備してたこと…
引かれなくて良かった。


それに…


相葉くんが準備してきてくれててほんと良かったかも。


相葉くんを受け入れる準備で頭がいっぱいで、肝心なものを忘れちゃってた。



反射的に回した手にぎゅっと力を込めた時、その行為とは裏腹にそっと体を離されて。


強い意志を持った眼差しが真っ直ぐに注がれ、頬に大きな手がそっと添えられる。


「…痛くないようにするね…」


ちゅっ…と優しくキスをされた後、また丁寧に体を倒された。


「これ…取っていい?」


膝下に纏わりついたスウェットと下着を返事を待たずにするりと脱がされ。


下半身に何もつけていない格好になり、また恥ずかしさに襲われた。


パーカーの裾をぐいっと下に引っ張って隠していると、パチンという音がして相葉くんを見上げる。


ボトルから透明の液体を手に出して右手に馴染ませつつ、熱に浮かされたような眼差しで見下ろされて。


目が合って急に心臓が早まりだした。


いつも自分の指で慣らしていたその場所に、初めて他人の…相葉くんの指が入る。


そう思うと期待なのか不安なのか分からない感情が湧き出てきて、ドクドクと鼓動が速度を上げて。


「…痛かったらすぐ言ってね」


そう念を押す相葉くんもまた、小さく掠れた声で呟いた。


緩く膝を立てた間に体を入れた相葉くんが、探りながらその場所に指を留めて。


ぬるっとした液体の感触がして息を吸い込んだ瞬間、先端がつぷっと入り込んできた。


「んっ…」


初めての他人の指の感触。


滑りを纏って押し入ってきた指が、相葉くんのものだと実感すると胸の高鳴りが抑えられない。


「うわ…」


小さく呟いた相葉くんの声は、驚いたような困惑したような色を帯びていて。


それもそのはず、準備していた中はすぐに細い指を飲みこんでいく。


「だ、大丈夫…?」

「んっ…へいき…ゆっくり、動かして…」


下から見上げて伝えれば、こくんと頷いて中でぐるりと指が動き出した。


弧を描いたり、内壁を広げるように押し上げたり。


不規則に動かされる手付きが予測できず、自分の指とは格段の違いを感じさせられた。

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