テキストサイズ

Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第12章 花の命・・・

こんなに…感情的になって
人前で…しかも、こんな仏頂面の医者の前で

みっともなく泣いたのなんか
オレの記憶じゃ…この時くらいだ





ポン・・・



顔を上げられないオレの肩を
先生が叩いた





『お前が…泣けば病は治るのか?』





『・・・っ』



・・・∥お前∥……って


いきなり変わった先生の口調に
ちょっと焦りながら
オレは恐る恐る顔をあげた




『泣いて…地団駄ふんでわめいてれば

彼女の苦しみをやわらげてやれるのか?』




『・・・』





『それが…お前の思う【医師】の像か?

~~…随分と簡単で楽な仕事だな』




『・・・~』

脳天をひっぱたかれた
そんな感覚がして何も答えられない




ガサッ…



先生がオレの手からレポートを抜き取り
パラパラとめくる




『~…医者の真似事じゃなくて

医者になってから…ちゃんと【医者の仕事】を

すれば良いんじゃないか・・・』





『・・・』





ズキン…ズキン…

頭が勝手に脈拍を打ってる音が響く





『・・・先生・・・カンナは、

だって、このままじゃ…また

何度も繰り返し…苦しむだけじゃ…』





歯を食い縛りながら
まだ食い下がるオレに

先生は今度こそため息をついて
呆れて言った




『お前が…・・・、いや違うな』




『・・・???』

ストーリーメニュー

TOPTOPへ