
ねぇもう嫌・・・
第21章 検査④
来た道を戻りながら、気づくとあの男子のことを考えていた。
「あっ」
さっきと同じ場所で、何も持たずにただ窓を眺めていた。
『っ』
目が合った。
時が止まった気がした。
目をそらそうとしても離せなかった。
『…何?』
その声でようやく視線を落とせた。
「っ…ううんっ。…何してるのかなって…」
咄嗟に出た軽い言葉に男子は直ぐに答えてくれた。
『ん、外見てた。夕日で、綺麗なんだよ。』
照れ隠しに頭を掻きながら。
「そうなんだっ…」
ふと見上げると目線が合って、慌てて笑顔を作った。
『お前も見たら?こっちに来いよ。』
「っ…」
このまま去るわけには行かないし…、
戸惑いつつもその男子の隣に立った。
