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風鈴の夏

第4章 俺と風鈴

俺が家に戻ると例によって花火柄の浴衣の男の子が居た。

「ミッションコンプリート?」

俺は窓の上のカーテンレールを見て、予想通り、あるモノが無くなっていた。

「その顔…何か分かったみたい。」

「ああ。やっぱり君は…」

俺はカーテンレールをチラッと見て言う。


「あの花火柄の風鈴。違う?」


「御名答だよ。お兄さん。」

「でも君の正体が風鈴でさ、夢を叶えることとかタイムスリップしたこととか一体何がどうなって…」

俺はまだ謎が残っていることを伝えた。
すると風鈴の男の子は話し出した。

彼はある硝子工房で作られたという。
そこで彼を作った人は並外れたガラスへの気持ちの持ち主だったと言う。
その人が作ったガラス製品には稀に俺の風鈴みたいに魂が宿り、その持ち主の願いを叶えるらしい。

「じゃあ、叶えてもらえない人もいるんだな。少し不公平だよな…。」

俺が言うと風鈴が言う。

「ううん。そんなことは無くてね、魂の宿った風鈴を手にするのは純粋な願いを持った人だけなんだよ。」 
 
俺は照れ臭くなり頭をかいた。

「さあお兄さん、帰りましょう。未来へ。」

風鈴が青く輝く。
俺は目がくらみ、思わず目を瞑った。

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