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夢鉄道

第1章 夢鉄道

 センターの天女美伽。歳は、誤魔化してない18歳。

 年齢的には私の方が年上なのに、設定が17歳のため、同い年扱い。

 アラサーアイドルの私を、舐めてるにちがいない。

 だって、そいつ、チーム南無のリーダーで、しかも次期総監督候補だよ。

 その天狗の鼻を、ねじ曲げてやる。

 さあ、どこにいるのか「あら? 夢風姉さん」

 むっちゃ突然、見付かったぁ~い。

「え、え、あれ、あ、天女じゃない……な、なにしてるの?」

 私は動揺した。急に現れるし……。

 まったく、嫌味なほど可愛い。子リスのようだわ。しかも、80年台アイドルのような、黄色いフリフリの衣装着てるし……体操服ジャージの私とどえらい違い。

「え、本当!? 夢風姉さんと会えるなんて、嬉しいです。先輩だし、いつも遠くで距離を置いてらっしゃるから、なかなか話しかけづらくて……8期生9期生が新しくいる中、デビュー当時からいる唯一の1期生の夢風さんに二人きりだなんて、本当に嬉しいです」

「嫌味かっ! 距離を置いてるからじゃない! あんた達が近寄って来ないんでしょ!」

「うわぁ~、夢みたぁ~い」

 夢だよ! いや、現実でも毎日会ってるでしょ!

「ね、夢風さん、外に行きましょ。海がキレイだし」

「いや、外はいいから、ここで話しましょ」

 外に出たら、どこで落ちるかわかったもんじゃない。こいつが、目覚めないようにしないと……。

「そうですか……私、夢風鈴さんを見て、南無般若108に入りたいって思ったんです」


 こいつ、アホか。もうすぐ10期生を募集しようとしてるくらいのアイドルグループのくせに、CDデビューもまだ出来ず、男性ファンをもっと増やすために、私物のパンツはいて、ミニスカ衣装で派手に踊って、深夜放送で素足と顔出すくらいのアイドルの後ろにいる私をどうやって見てたのよ!?

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