赤い糸
第14章 大切な時間
「…ハァっ…ハァっ…」
「もうへばってんのかよ。」
あんなに攻められればこうもなるよ…と、反撃したいけど
「…ンっ…ハァっ…ハアっ…」
言葉を発することも出来ないほど私の呼吸は乱れていた。
「覚悟はできてたんじゃなかったっけ?」
「…ヤァッ!…待っ…」
京介さんはクスリと微笑むと体内に潜らせたままの長い指をゆっくりと動かし始めた。
一度達してしまうとその刺激は凄まじい。
「おねがいしま…っ…」
少し動かされただけで自分でもわかるほど彼の指を締め付けてしまう。
私はその刺激から少しでも逃げようと腰を引いて抵抗するんだけど
「そうか…まだもの足りないか。」
京介さんにはその思いは伝わらないらしく
…ザッバーンッ
「ヤダ…ウソっ!!」
腰をグイッと持ち上げられると湯船に座らされ
「本当に…イヤっ…!」
指が入ったままの状態で膝を割られその目の前にニヤリと笑わった京介さんの顔があって
「…ダメっ…京介さっ!」
私の抵抗も虚しく一番敏感なそこに舌を這わせた。
お湯が浴槽に流れ出す音しか響かないこの夜空に、グチュグチュと蜜を掻き出す音とピチャピチャと私を愛する淫らな音が加わると
「…もう…っ…」
頂が見え始める。
そうなれば私のすべてを知り尽くしている彼に敵うはずはない。
京介さんの指と舌は絶妙な力加減で私をまた誘った。
*
「おっと…」
璃子は俺の指をギュウギュウに締め付けて達すると崩れるように俺の腕の中に倒れ込んだ。
大口を叩くくせに俺とのペースを掴めていないおまえを抱きしめる。
「無理すんな。」
「…してないです。」
出来のいいおまえはこんな俺のために必死になってくれてるんだよな。
「いいから。」
「よくないです。」
璃子は俺の首に回した腕にギュッと力を込めて
「だって…こんな私じゃすぐに他の女の人にとられちゃう…」
だなんて、すげぇ可愛いことを言い出す。
「バーカ。」
俺も負けずに璃子の体を抱きしめて
「俺の方が心配だっつうの。」
きっと記憶を無くす前の状態でアメリカに発つことが決まっていればもっとフランクに見送れたのかもしれない。
でも今の俺たちはそんなに簡単に事を納められない。
だから 何度だって言うよ。
「絶対に忘れるな。おまえはどこに居ても俺のもんだ。」
わかったか?