赤い糸
第14章 大切な時間
『好きな人には何でもしてあげたくなるものよ』
幸乃さんはそう言ってた。
これがその正解なのかわからなかったけど私は大好きな人の体を精一杯愛した。
「あの…その…ダメでしたか?」
嘔吐いてしまったからか京介さんはもういいと制してキスをねだる。
私は何度も高みに連れていってもらったのに申し訳ない。
大切な夜なのに…大好きな人を喜ばすことも出来ないなんて
小さく息を吐いて俯くと
「おまえは本当にバカだな。」
クスッと笑って
「ダメなわけねぇだろ。」
…え
彼の腰に跨がっている熱を持った私のその場所には さっきまで愛した京介さんのアレが硬いまま当たってて
「このまま挿れたい。」
京介さんは私の頬を撫でながら瞳を重ねてストレートに言葉を紡ぐと
枕元からソレを取り
…えと
私の腰を少しずらして目の前でスルリとソレ付けてみせた。
もしかして…私が…上?
戸惑う私に紡がれる言葉はやっぱり
「腰上げて。」
想像してた言葉。
そして迷うことなく
「…ん…アッ…」
その場所に彼が挿入ってきた。
*
「もっと腰落として。」
璃子は瞳をギュッと瞑ってオレを受け入れた。
何度も頂を見ているのにおまえのソコはまだ俺を締め付ける。
「璃子…」
俺は布団に身を沈め小さな手を握り
「動いて。」
少しだけ積極的になったおまえに下から指図する。
「…無理です。」
オレンジ色の光が反射した潤んだ瞳で見下ろしたって何の説得力もない。
「璃子のペースでいいから。俺にもおまえを感じさせてよ。」
動かしたって下手に決まってる。
でも さっき俺のを必死で咥えてくれたんだ。こっちでもおまえを感じたい。
そんな風に思いながら俺は繋いだ手を引き寄せて
「…ヤァっ…」
少しだけ腰を突き上げる。
すると璃子はゆっくりと腰を上げ
答え合わせをするように横たわる俺を見ながら腰を沈めた。
ぎこちないその行為が愛らしい。
「もっと、そう沈めて…」
「…ハァっん…」
「そうそう上手。」
繋いだ手に力が籠る。
「璃子…」
綺麗だった。
オレンジ色の淡い光に包まれた裸体
形のいい胸はツンと上を向き動くだけで円を描くように揺れ
小さな唇からは吐息混じりの控えめな桃色の声
…参ったな
そしてまっすぐに見つめる瞳に堪らず手を伸ばした。