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「失礼しまーす」


辰巳さんの部屋に初めてお邪魔する。


……と言っても玄関だけど。


廊下に山積みされている段ボールが
辰巳さんの引っ越しを実感させる。


「ホントに居なくなっちゃうんですね」


引っ越し先を知りたいけど
所詮は隣の住人。


それに、辰巳さんの謎めいた人柄が
聞くことを拒ませる。


「さっき偶然会ったのも、莉央ちゃんに
お別れを伝えに行こうと思ってたんだよ。
はい。これどうぞ」


辰巳さんから受け取った箱には
いくつもの調味料が入っていた。