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「私は……離れる前から……」


辰巳さんに想いを寄せていた。


でも辰巳さんのミステリアスな一面が
『俺に近付くな』と物語っているようで
想いを伝えるなんて恐れ多くて
考えもしなかった。


ぁッ……この状況……


さっきまでテレビで観ていた
シチュエーションに酷似している。


壁を隔てた直ぐ向こう側には
カレシの一樹が居て……


私が最も嫌う男女間の光景。


夫が居ながらにして他の男性となんて
どれだけ欲にまみれているのかと
Sさんという女性を軽蔑していた。