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Treasure of life

第11章 After the rain

side N

俺が、恋人である翔さんと出会ったのは、4月の終わり頃のこと。

俺がよく行く繁華街で2人組の外国人に絡まれたのだ。

「君、可愛イネ」
「男ノ子ダヨネ?」

「俺達ト一緒ニ、飯デモ行カナイ?」
「いえ、大丈夫です……」

「チョットクライ、イイデショ?」
「…止めて、ください…」

腕を掴まれそうになったから、抵抗してなんとかやりすごそうとした……。

そのとき。

「すみませんっ、その子俺の彼女ですっ」

と流暢な英語を話した若いスーツ姿の男の人が、俺と外国人の間に割って入ってきた。

それが翔さんだった。

「ナンダヨ。彼氏持チカヨ」
「イコーゼ」

2人組は捨て台詞を吐いて夜の街へ消えて行った。

「…あ、ありがとう、ございます」
「大丈夫だった?」


そんなことがきっかけで付き合うようになって今に至る。


親友の潤には、言おうと思った。

でも、引かれたらどうしよう、と勇気が出なかった。

潤が打ち明けてくれたとき、正直ホッとした。

友達関係が崩れずにすんだから。

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