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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第16章 卒業式、そして ~~

  絢音も利沙も胸がいっぱいになり
  込み上げてくるものをグッと堪えた。

  そうしていよいよ、卒業生の退場だ。

  涙の残る顔、湿っぽい顔をみんなで見合わせ
  「ニヤッ」と笑う。

  ここからがある意味本番だからだ。


  司会役の先生の号令で一礼し、高等部の
  3年S組から順に中央通路へ移動していく。


  在校生達は一様にざわつき、ソワソワしだす。


  卒業生が在校生の横を通るちょうどその時、
  在校生の頭上に向かってたくさんの
  飴やチョコやお菓子を放り投げ始めた。


  ワーッと皆で手を伸ばしそれらをつかんだ。

  その次のクラスもまたその次のクラスも
  お菓子の雨を降らせてくれる。

  一体、そのセーラー服や学ランの何処にこんなに
  たくさんのお菓子を隠しもっていたのだろう?と
  不思議に思うほどだった。

  時にはコンビニのおにぎりも降ってきて取り合いに
  なった。


  誰もがニコニコと笑っている。とても晴やかだった。

  卒業は終わりではなく始まり。


  その言葉がピッタリと当てはまる
  そんな門出だった。

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