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オオカミは淫らな仔羊に欲情す

第8章 学校にて

「おいっ、いずみぃー、今日こそは白黒はっきり
 決着つけさせてもらうぜ」

「絢っ」

「ごめんセンセ、今は目ぇ瞑っといて?」


  と、絢音はその不良くんの相手をしに行ってしまう。


「おい、絢音っ」

「センセ、止めるなよ。本人も言った通りアレは
 あいつの趣味なんだ」

「しかし ――」

「あいつくらい強くなると勝手に不良共が挑んでくる、
 良くも悪くも。だから和泉は売られた喧嘩と相手を
 選んで買ってるだけだ。
 決して和泉は理由もなく人に暴力を振るう奴じゃない。
 それだけはセンセにも分かって欲しい」


   ”弱いよ、バーカ(ぶぁーか)顔洗って
    出直しといで!”

  絢音と不良くんとのタイマンは、いつもの如く
  絢音の一撃でケリがついたようだ。


   (おぉ! 一撃かよ。確かに、
    悪魔かも知れん……)


「お待たせぇ。あ~ぁ、だめだ、今の全然楽しく
 なかった」

「あのなぁ……」

「センセ、やっぱ私チクられる? 山ノ内に」

「……タイマンだったしな。部活って事にしといて
 やる」

「部活?? アハハハ ―― やっぱセンセって
 最高!」

「お前、笑い事じゃねぇだろが。ってか”やっぱ”
 ってのは、何なんだよ? この間も言ってたろ」

「あ~ ―― 早く思い出してよ、センセ」 

「えっ?」

「じゃ、また、明日ね~、りゅうじセンセ」


  取り残された竜二は自問を繰り返す。

  以前何処かで会った? ―― 何処で?

  あんなにインパクトが強烈な娘、
  そう簡単に忘れるハズはない、よな……。


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