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こんな日は抱いて欲しい

第5章 真由子のセレナーデ♪




 そ・れ・で・も、積りに積もった我慢の日を迎える日は、必ずやって来るんだな〜

 パチンコをしていて、自分の玉がなくなると、「千円頂戴!」と、人がリーチ掛かっていて熱い時でもお構い無しの催促。
最初はしょうがないな……と甘やかせた事でも、度重なると腹も立つ。

 『私は瑛太の便利な財布じゃねーよ!』と心が木霊した。


 その日は、瑛太に軍資金もすられた挙句、自分も勝てなかった不満でイライラピリピリしていたんだな……。
溜まった不満が噴き出し、腹の中にある事を全てを吐き出していた。

 極めつけは、『貧乏神って、貧相な人相の空想の神だと思っていたけど、最近の貧乏神は、顔だけ良くて図々しいのな!
千円稼ぐって事が、どんだけの労力か知らない癖に、寄生するのだけは上手で……あんた、ちょっとふざけてない?』

 『止めよう、止まれ、コレを言ったらダメだろ!』と心が止めても、毒ついたお口が止まらない。
落ち着きを取り戻した時には、最悪なラストシーンを迎えていた。


 瑛太は、『………分かったよ。悪かったな。真由子』

 逆ギレもせず、無駄な事も言わずに部屋を出て行った。

 
 追い掛けられないくらい、とどめを刺した自分に後悔したけど……

 『それでいい!それでいいんだ!良かったんだ!』と自分に言い聞かせるしかなかった。

 付き合って一年弱。
余りに呆気なく、突然の終わりを迎えてしまった。

 涙がポロポロ溢れて、体の力が抜けて、その場に座り込んで、声を出して、ワンワン泣いたっけな〜

 

 

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