幸せの欠片
第17章 傍にいて
自分が泣いている事にも気付かない程のショックだった
だけど相葉さんは、俺を見たままごくん、と喉を動かしてそれを飲み込んでしまう
口に出してしまっただけでも申し訳ないのに、飲むなんてあり得ない
「あい、ばさ…、汚い…出して…!」
怠い身体を無理矢理起こして相葉さんの頬を両手で挟んだ
指を突っ込んで出してしまいたい衝動に駆られる
「汚くない」
頬の手を取られ、絡め取られた
「でも……っ」
絡んだ指がギュッとしまって、引き寄せられる
「かずのもので汚いものなんか、ないから」
間近でにっこりと微笑む相葉さんの顔に嘘は感じられない
「どうして……?」
俺の何が、いいの?
どうしてそこまで、想ってくれるの?
「いい加減、受け入れようね。せっかくかずだって生きるって決めたんだから
愛される事に、慣れて。…嫌だって言ってももう離さないからね」
強い意思を感じる瞳に、吸い込まれそうになった
嬉しさと、そこまで想ってくれる恐怖と、色々な感情がごちゃ混ぜになって
…涙が止まらなくなってしまった