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幸せの欠片

第5章 衝動




約束の土曜日は2週間ずれた

最初は、あの夜景を見た週の週末の予定が
どうしても都合が悪い、と延びたのだ

…だから、俺はあんなおかしな事ばかり考えてしまっていたんだと思う

声が聞きたいとか
物足りないとか


だけど彼を目の前にしたら、そんなのはもう彼方に忘れてしまった

こうして顔を見られただけで充分だ

…彼女に対しては、ここまで頭を占めた事も
声が聞きたいと強く思った事もなかったのに



******


朝食はコンビニで買えばいいからと、相葉さんが8時に迎えに来た

仕事以外でこんな時間に起きてる事なんて初めてで、まだ頭が覚醒していない


「なに眠そうな顔してんの」

そう言って相葉さんは笑うけど

「相葉さんは何で朝からそんなに元気なの…」

俺から言わせれば、むしろ元気な方が信じられない

会えて嬉しいと思うけど、体がそれに付いていかない


「かず…?あんまり顔色良くないね」

車に乗り込んだ俺を見るなり、相葉さんが少し眉をひそめた

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