幸せの欠片
第5章 衝動
約束の土曜日は2週間ずれた
最初は、あの夜景を見た週の週末の予定が
どうしても都合が悪い、と延びたのだ
…だから、俺はあんなおかしな事ばかり考えてしまっていたんだと思う
声が聞きたいとか
物足りないとか
だけど彼を目の前にしたら、そんなのはもう彼方に忘れてしまった
こうして顔を見られただけで充分だ
…彼女に対しては、ここまで頭を占めた事も
声が聞きたいと強く思った事もなかったのに
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朝食はコンビニで買えばいいからと、相葉さんが8時に迎えに来た
仕事以外でこんな時間に起きてる事なんて初めてで、まだ頭が覚醒していない
「なに眠そうな顔してんの」
そう言って相葉さんは笑うけど
「相葉さんは何で朝からそんなに元気なの…」
俺から言わせれば、むしろ元気な方が信じられない
会えて嬉しいと思うけど、体がそれに付いていかない
「かず…?あんまり顔色良くないね」
車に乗り込んだ俺を見るなり、相葉さんが少し眉をひそめた