幸せの欠片
第6章 戸惑いと優しさ
未だ、少し困ったように笑っている
「景色見るのは、今度でいい?」
「え、あ…」
今度も何も、もうないのに
優しい言葉を選んでくれてるんだろうか
それなら
優しくなんかしなくていい
俺に、優しくする必要なんてないんだから
「…でも、今日はこのまま帰す気はないよ?」
「え、それ」
“どういう事?“
そう聞こうとして、聞けなかった
「…俺の家に行こ。ゆっくりと話したいんだ」
「でも…」
「これで帰したら、いつまでもモヤモヤが残る
…俺はかずとの付き合いやめる気ないから」
単純に、嬉しいと思った
相葉さんは、俺をまだ見切らないでいてくれる
自分からサイを振っておきながら都合が良すぎるけど、暖かい気持ちが心を滲出させて行くのを感じた
「ありが、とう…」
自然と出た言葉に、相葉さんが何故か一瞬驚いた顔をした
「相葉さん…?」
「あ、いや、かずからありがとうって言われるとは思ってなくて。
なんか、嬉しいかも」
運転しながら、綻ぶ口許に気付いて
少しだけ、安堵の溜め息を吐いた