幸せの欠片
第7章 “好き“ のキス
「狭いけど、どうぞ」
何処と無く照れた様子の相葉さんが、中に招き入れてくれた
ワンルームの部屋はシンプルに纏まっていて、きちんと片付けられている
メールの時間と言い、貴重面な性格なのは間違いなさそうだ
だけど神経質な感じはしない
普段の話し方なんてを見てると、それこそおおらかなイメージさえある
「適当に座ってね」
相葉さんはキッチンに向かってしまって、通された部屋に1人取り残された
「あ、うん…」
そうは言われたけど、何処に座って良いか分からない
誰かの家に入る事自体が初めてで、自分の所作にも戸惑ってる
フローリングに直に?
それともクッションの上に座る?
ベッド…はさすがに失礼だよね
ただ座るだけでも迷うとか、バカみたいだと思う
「そのクッションの上にどうぞ」
戸惑ってる俺に気付いたのか、相葉さんが “なかなか座り心地いいよ“ とキッチンから顔を出して笑って見せた
言われた通り、クッションの上に座る
確かに、ビーズが程好く沈んで気持ちいい