幸せの欠片
第2章 再会
「別れたいの」
3年付き合っていた彼女から、話があると言われて呼び出されたのは
会うと必ず行ってた馴染みのカフェだった
最近は忙しくて、会えなかったし
大方その辺りの愚痴だろうと気楽な気持ちで向かって
席に着くなりそう告げられた
「え、何で…」
喧嘩した覚えもなければ、怒らせた記憶もない
会えないのだって、仕事だから仕方ないと割り切ってた
それどころか
俺としては、そろそろ結婚も考えようかと思ってた処だったのに
「…他に、好きな人がいるの」
そう言って俯いた彼女は、“ごめんなさい“ と呟いた後
「貴方は、私を必要とは思ってない」
小さく、だけど顔を上げてきっぱりと俺に告げた
「そんな事……」
「3年一緒にいても、何処かで一線を引いてたじゃない」
嘘だ
俺は俺なりに愛してたし、大切に思っていた
「引いてなんか…」
「あのね、無意識に引いてたの。貴方がそれに気付いてないだけ」
別れて欲しい理由は、幾らでもある
真っ直ぐに俺を見つめる彼女の瞳が、そう語っていた