君がいる風景
第15章 秘密の
ちいさな頃は小柄な割にはやんちゃだった
でも苦手なものや怖いものはたくさんあったんだ。
けど、それらは年を重ねてく毎にいつの間にか
消えてたり、成長してくると知識や経験が恐怖心を凌駕してくれるおかげで
ほとんど克服できてたりする。
だけどどうしても苦手なもの
克服できない幼少期のトラウマがあるんだ
こんな雨模様の空
空全体を覆う黒い雲はアレがくる気配を
醸し出してた。
雨降りは嫌いじゃない
強風や大雨だって濡れたりするだけのことだし
厄介なのは雷。
あの空に走る稲妻の閃光と怒号の響き
遠くからきこえてくる怪し気な遠雷の音にさえ
足がすくんでしまう。
こんな年齢にもなって
雷が苦手だなんて…情けなくって
授業中に手汗を滲ませながら必死にさけび声を
あげないように努めたり
なるべく意識を講義に集中してたりした。
休み時間にはこっそりトイレの個室で目を瞑って
耳を塞いでたこともあった。
作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える