君がいる風景
第1章 落とし物
年下で後輩の松潤にこんなに言われても平気なのは
こいつの菓子作りの才能を知ってるから。
ベーカリーと洋菓子の販売する店を併設する
イタリアンレストランで働く同僚。
自信家で生意気な口調とは違って、繊細な指先で
仕上げるデコレーションはかなりの腕前。
「智、今朝も遅刻しそうだったもんね
ばたばたで走ってきてたじゃん」
「おめぇもバイクぶっ飛ばして来てだろうが!
少なくともおめえよりは、先に滑り込んだ」
「まあね、
けど、見つかるといいね。」
「サンキューな、帰りに探しながら歩くわ」
仕事終わり店から駅まで地面を見ながら歩いた。
駅には今日はそれらしい落とし物は届いてないって言われた。
サメのキーホルダーを付けてるから特徴はあるけど。
こりゃあきらめるしかねぇのかも
下車する駅で問い合わせてみても返事はさっきとおんなじ。
駅から自転車置き場までの道のりを
地面をじっくりと睨みつけるように歩いてみたけど
やっぱりサメのキーホルダーを見つける事は
できなかった。
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