
君がいる風景
第1章 落とし物
「なんかさ、方法とかねえかな?」
「さあ、御礼の手紙でも書いて祠に貼っておくのが
1番妥当かもしれませんね」
そんな話をしてたら
自転車修理の客が立て続けにやって来てかずと
手分けしながら対応してたら、
気づいたら閉店時間になっていた。
じいちゃんも病院から戻って来て、思ったより
元気そうな顔が見れたから帰ることにする。
「まってよ、智兄。
これ、じいちゃんが持っててくれってさ」
かずが手渡してきたのはスーパーの袋
きれいな夕日の茜色のように熟した色の果実
おおきな柿が4つ入ってる。
「あんがとな」
「あのさ、智兄って彼女とかいないの?」
「いまはいねえよ」
「前に髪の長い女子と歩いてるのみたんだけど」
「んん〜誰だったっけ?」
俺の恋愛期間ってのは
ごく短いもので終わっちまうことが多くて
大した感情や思い入れもない程度のものばかり。
「うわぁ忘れちゃうなんてヒドい男ッ」
「うっせえよ、クソガキっ
どうせ俺はすぐふられてばっかだから
そんなのいちいち覚えてらんねぇんだよ!」
「そっかそうなんだ…今はいないんだね」
「じゃあな」
さっさと会話ん切上げて帰ることにした。
