
君がいる風景
第10章 距離感 翔視点
気前の良い神様が自分勝手で
都合のいい願い事をひとつ叶えてくれた瞬間
応募してたバイトの面接先のお店の
裏口からひょっこり現れた
駅で見かけた優しくて親切なあの人
あまりの興奮に自分を抑えることが出来なくて
まだ採用されるとも決まっていないのに
自己紹介みたいな真似までして名乗ってしまった。
休憩室でくつろいでる姿
オーナーとの面接後にお店の説明をするからって
ホールスタッフの相葉くんに連れられて入った
そこにあの人がいた。
相葉くんの少し難解な説明にメモを取りながら
聞いてるつもりでも
正直、あの人のことが気になって仕方なかった。
一通りの説明が終わってお礼を言ってから頭を
上げるとイスでうたた寝をしてる
相葉くんが声をかけて俺が帰るよって
声をかけてくれたら寝惚けた様子だったけど
にっこりとやさしく微笑んでくれた顔
その顔に見れただけで
まるで羽根が生えたみたいなふわっとした
しあわせな気持ちになったんだ。
