君がいる風景
第11章 高鳴り
そっと智くんの腕をほどいて布団から抜け出して、書き置きの手紙を用意する。
二日酔いの薬とミネラルウォーターを机の上に置いておいた。
今日の授業は9時半からの1時間の授業だけ
もしかしたら速攻で帰って来れたら
まだ眠っててくれてるかも
ちょっとズルいかなって思ったけど
鍵は置かず施錠して出かけることに決めた。
毛布と布団を肩までしっかりの掛け直してあげると、気持ち良さそうな智くんの寝顔に見惚れてた。
なにかを食べてる夢でも見てるのかな?
時折モグモグさせたり、くちびるをつんと
突き出したり
ぷるんと潤むそのくちびるがあんまり可愛くって
人差し指でそっとふれてみた。
しっとりした柔らかな弾力のあるくちびる
「智くん、行ってきます
俺が戻るまでゆっくり眠ってててね」
玄関先で靴を履く前に
さっき智くんに触れた人差し指をそうっと
自分のくちびるに押しあててみた。
頬が紅潮し始めて胸の高鳴りがものすごく大きな
音を響かせてるのが自分でもわかるほど。
夢心地のような感覚で
足音を忍ばせて静かに扉をしめて大学へ向かった。
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