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第28章 あけおめ




#N








17時間の時差を飛び越えて、

アメリカ、ニューヨークに到着。

慣れない時差にまだボーッとしている。







「ねぇかず、みてみて♡」



移動の地下鉄の中で母さんが

ガイドブックを手にはしゃいでいる。






タイムズスクエアのカウントダウンに、

自由の女神。

ロックフェラーセンターの下でスケート。

MoMAで有名なトマト缶の絵を鑑賞。

セントラルパークを散歩してブランチ。



ガイドブックのいたるところに

日付を書いた付箋がびっしり。

・・・きっと順に廻るんだろう

この寒いのに外の観光地に行くなんて

勘弁してほしい・・・(泣)






とはいえ到着日の今日くらいは流石に

ゆったりと過ごすだろう、と高を括っていると

チェックインして荷物を置いた途端に、

母さんが"さ、出るわよ?"と俺の腕を引いた。





母さんに半ば引きづられるように

さっき降りた地下鉄から、

空港とは反対方向へと乗り直すと

降り立った駅は観光地とは

少し離れた静かな郊外の町だった。










N「・・・どこ?」




「あー・・・かず、
父さん言ってないことがあったんだけどな…」




N「ん?」




「来て早々なんだけど、
ちょっと、知り合いと落ち合って
マンション見に行くから」




N「へー・・・て、はぁ?」






急な展開に、働きの鈍い頭がついていかない。




マンション?

誰の?

なんで?




「…お父さん、2月からにニューヨーク支社に
勤務なんだって♡」




N「えーと・・・?」






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