うちの社長が酷すぎる!
第5章 きみの瞳に
浮気なんて、わたしとは関係ないと思ってた。
…まさか、自分がする側になるなんて。
「…思っても…無かったんです」
「……稀乃…」
「わたし…最低で、でも…ヒカルさんに好きって言ってもらえて……」
また、思い上がってしまう。必要とされているって、思ってしまう。
「好きって言ってもらえて…嬉しい、です」
精いっぱいの笑顔で、ヒカルさんに向きなおる。
「……それに、今決めました」
「……なにを?」
「ヒカルさんに好きになってもらった女に恥じないように…けじめを付けることを。」
雄飛の想いに応える覚悟を決めたんです、と付け加える。
まっすぐ、そう言った。
ヒカルさんは驚いたように目を見開くと、息をついて下を向いた。
「…清々しく、フられたな」
「はい。」
あえて、きっぱり肯定する。ヒカルさんが傷付く理由なんてないから。
「あー…くそ」
ヒカルさんは目を抑えて上を向いた。
「あ…ヒカルさ……」
「いいんだ。…謝んな」
滲んだ涙を払って、ヒカルさんはわたしを見る。
「__よし、帰っか。俺たちのマンションに」
「__っはい!」
そしてヒカルさんの恋は終わった。