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うちの社長が酷すぎる!
第4章 知ってしまった
カン、カン、カン
音を立てて錆び付いた階段を上がっていく。
自分の部屋の前に着き、鍵を取り出そうと手に下げていた鞄を探る。
「………ん?……んん?」
…鍵が無い。
部屋に入れないじゃん…!どうしよう…!
「おい」
「へ?あ痛っ」
後ろから頭をコツンと叩かれる。
「変にきょろきょろしてっから不審者かと思っただろ。」
「す、すみません………?」
ヒカルさんだった。
ヒカルさんは私の頭をわしゃわしゃ撫で回した後に腕時計を見た。
「あ?まだ6時前じゃねーか。帰ってくんの早くね?」
「…まぁ。」
そりゃあ…身体だるいし。
宝条社長もそこを気遣ってくれたんだろうな…
宝条社長のことを考えると顔が熱くなる。
さっきまでしてたことを思い出して…
「…どした?耳まで真っ赤…」
「ひゃっ!?」
耳を触られて裏返った声を出す。
ハッとしてヒカルさんを見るとヒカルさんの顔も赤くなっていた。
「…えと…その…か、鍵を無くしまして……」
「あ……っとそうだったのか…そうか…」
なんとなーく、気まずい……
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