うちの社長が酷すぎる!
第5章 きみの瞳に
「ん…………」
光が目にあたる感覚に眩しさを覚えて、目を開ける。
カーテンの隙間から差し込んだ光が目に当たっていた。
「ふぁ……あぁ…」
布団をまくり起き上がってぐっと伸びをする。
……ん?
ちょっと待てよ。ここどこだ。
「………ハッそうだ思い出した」
昨日は鍵を無くしてヒカルさんの家に泊まらせてもらったんだ……
部屋にはタンスと子窓とドア1つしかない。
ここもまた殺風景だなぁ、と思いながらタンスの上にふと目をやると、写真立てがあった。
「…ちょっとくらい見てもいいよね」
昨日布団に投げられたお返しってことで!
写真には若い女の人と小さい子供。
子供の方は…もしかしてヒカルさん?
「可愛い…!」
写真たての向こうのヒカルさんは満面の笑みで若い女性のスカートの裾を掴んでいた。
…お母さん、だよね。でも、お父さんがいない…
「稀乃?」
ドア越しに声をかけられ、「はい?」と返事する。
「いや、はい?じゃなくて起きたなら言えよ…朝飯食ってくだろ?」
「あ、はい………えっ作ったんですか!?」
「あー、まぁな。だから早く出てこい」
はーい、と返事してタンスから離れる。
…写真のことは心にしまっておくことにした。