幸せの欠片 *超* 番外編
第1章 プロローグ
あんなに愛したのは初めてだった
一目惚れって本当にあるんだと、驚愕した
彼を知れば知る程、愛しさが増して
俺の全てを捧げてでも守りたいと思った
長く辛かった彼の人生が漸く変わろうとしていたのに
やっと、幸せを掴む手前まで来ていたのに
二人で集めた幸せの欠片は、最後の1つを残して形になる事が出来なかった
ー…幸せ、だったよ
そう言って腕の中で微笑った顔は嘘には見えなかった
だけど
本当に幸せになるのはこれからだったんだ
俺と一緒に生きて
同じものを食べて、同じものを見て
笑って、泣いて……喧嘩もして
年を取っても隣にいて、のんびりお茶でも飲んでたいねって思ってた
「会いたい……」
叶うわけ、ないけど
「声、聞きたいよ…」
こんな、どうでもいいテレビからの声じゃなくて
投げ出した鞄の横に寝っ転がって天井の明かりを見つめた
目を閉じれば浮かぶ、あの人の顔
会いたい
もう一度声を聞きたい
…抱き締めたい
かずに
……………会いたい