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溺れてみたい

第1章 一


その手を掴むと、私はお礼を言いながら立ち上がる。



「ありがとうございます……」

「で、君名前は?」


窓の隙間から入ってきた風が生ぬるく、廊下にいる私達の肌を不快に撫でる。

この人の手、冷たい……。

本当に幽霊だったりして。


「えっと……」

「条野 由来(じょうの ゆら)、19歳。出身は九州」


私が答えようとして、運転手の男が先に答えた。



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