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ジッパー様

第17章 なり損ないの末路【セイヤside】

「伊崎社長が超能力を使えるですって?」


 いちごが目を輝かせている。


「すごい! すごいわ、伊崎社長! そうね、それならジッパー様と融合して、神になれるかもしれないわ!」


 またいちごがぶっ飛んだことを言い放つ。


「何を言うてるんや、神になんてなれるわけ……」

「伊崎トオル……。もしかしてあなたは、当時マスコミに騒がれた、あの超能力少年なのですか?」


 メイド女が伊崎社長に問いかける。


「知ってるの? リコ」

「ええ。三十年前、十二歳の少年が超能力を使えると、テレビで話題になったんです。手を触れずに物を動かしたり、人の体を宙に浮かせたり……それはまさに神に選ばれた人間の力でした」

「!」


 そんなことがあったなんて知らなかった。三十年前は僕はまだ生まれてないからな……。



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