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ジッパー様

第17章 なり損ないの末路【セイヤside】

「得体の知れないモノをすぐに敵として見るのは、人間の悪い癖よね」


 いちごが何か含みのある言い方をする。
 得体の知れないモノ……ジッパー様ならともかく、伊崎社長が? 伊崎社長はただ超能力が使えるだけで、人間じゃないか。なんで化け物呼ばわりされなきゃいけないんだ。


「もしかして、ジッパー様の力を取り入れるのは世間に復讐するため……?」


 僕は伊崎社長に問いかけた。
 でも伊崎社長はニヤリと笑った。


「言っただろう、ただ興味があるのだと」

「!」


 伊崎社長は右腕の袖を捲ると、いちごに「やってくれ」と頼んだ。


「ふふっ、どうなるか楽しみだわ。伊崎社長は神になるのか、化け物になるのか──」


 注射器の針が伊崎社長の右腕の皮膚を貫通する。赤い液体が伊崎社長の身体の中に入っていく。
 もう、後戻りはできない。


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