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ジッパー様

第18章 疼く身体

 それは白い手だった。
 ひんやりとした、冷たい手。


「ジッパー様……?」


 そう呟いた瞬間、私の身体に複数の手が絡み付き、後ろに引っ張られた。


「きゃあっ!」


 後ろに転倒する!と思ったが、そっと椅子の上に座らせてくれた。


「あなたはさっきの……」


 私が座った椅子は、さっき私がガムテープで脚を補強した木の椅子だった。


「まさかあなたもジッパー様だったなんて……」


 どうしてジッパー様の椅子が外に置いてあるの? しかも脚が折れたまま放置するなんて……。


 ジッパー様の手は私の身体をまさぐり始めた。


「ん……だめっ……、こんなところで……」


 ここは喫茶店の外だ。裏口とはいえ、声を出したら通行人に気づかれてしまう。それにここだと、元いた会社のビルの窓から丸見えだ。


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