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Hello

第10章 HALLOWEEN NIGHT * 天然


Aiba


「ハロウィーンの本当の意味を、いったいどれくらいの人が知ってるんだろうね……」

テレビを見ているリーダーが、ぽつりと呟いた。
映し出されるのは、思い思いのキャラに扮した若い女の子や、賑やかな若者の姿。

「……多分。知ってるんだよ、みんな。知ってるけど、あえてこの世界に身をおいて楽しんでるんじゃないの?」


傍らの温もりを感じながら、肩をそっと抱き寄せると、俺にはよくわかんないや、と言って、リーダーは素直に体をあずけてきた。


「仮装かあ……」

「なに。したいの?」

「……別に。仮装じゃないけど、本格的なのなら、もうしたことあるし」

「本格的って?」

「ドラマ」

「……?ああ…怪物ランドね」

あの、リーダーは可愛かった。
正直可愛かった。
やんちゃな、リーダーも好きだもんね、俺。

くふっと笑ってリーダーの耳をちょっと引っ張る。
くすぐったいよ、と笑って、リーダーは体を捩らせた。
そうして、ぴったり俺の胸にくっつきながら上目使いで、首をかしげた。

……もう。いちいち可愛い……。
本人、無意識だから、たちが悪いよ。

そんな俺の思いを知ってか知らずか、リーダーは、俺を見つめてくすっと笑った。

「相葉ちゃんは…何が似合うかなあ…仮装」

「俺?」

「うたれづよいから…ゾンビかなあ…ふふ」

「やめてよ!」

あははっと笑ってテレビに視線をうつす。
ちょうど、若者が、吸血鬼の格好をしてインタビューをうけていた。
長い黒いマントに、口元に光る牙。

おお…かっこいいじゃん。

「俺、これがいい」

「太陽に弱いよ(笑)」

嵐一、お日様のイメージあるキャラのくせに、とリーダーはコロコロ笑う。

「でもさ、吸血鬼になったら不死身なんでしょ」

「生き血しか口にできないよ?」

「いーよ。リーダー襲いに行くから」

「ばーか。そんときゃニンニク料理山ほど食べて、むかえうってやる」

「そこは、吸われてよ」

「やだよ」

「絶対吸うよ、俺」


えーっと笑う、リーダーの綺麗な顎を持ち上げた。

……澄んだ瞳。

ゆっくり顔をかたむけたら、リーダーが薄く微笑んで目を閉じた。

重なる唇。

「……リーダーをちょうだい」

囁いたら。

「……吸うなよ?」

と、いう言葉とともに、首に腕がまきつけられた。

20171031



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