Hello
第12章 ささやか * にのあい
Aiba
行事と誕生日が重なるのって、本当に困る。
しかもクリスマスと誕生日ってさ、ありえないよね。
普通、恋人がいる身には、どちらもビッグイベントなわけでさ。
KinKiの光一くんは、お正月と誕生日が一緒だから、きっと俺と同じようなこと思ってるんじゃないかな、と聞いてみたことがある。
そしたら、日本中の人が、おめでとうっていうお祝いムード満載やから、逆になんか便乗できて嬉しいって言ってた。
そーいうものなのかな。
「……なに考えてんの」
腕の中から、ぽつりと怪訝な声。
ふっと、我にかえった。
「ん?別に。たいしたことじゃないよ」
俺は微笑み、ベッドの中、抱きしめてる腕に力をこめた。
俺より一回り小さい華奢な体。
ふわふわした柔らかい髪の毛に、鼻をうずめ、愛しい恋人の香りを存分に楽しむ。
「……くすぐったい」
「いいじゃん」
「……っ、…もう。離れろ」
「やだ」
本心じゃない言葉を軽くあしらい、おでこに軽くキスをすると、にのはびくっと肩をすくめた。
「……明日もライブあるかんな」
上目使いになり、牽制するかのように念押しされて、苦笑する。
「……分かってるよ」
抱きしめる腕を緩めて、すべすべした頬を包み、チュッと軽く唇を重ねると、にのは、驚いたように俺の腕をきゅっとつかんだ。
可愛い反応に暴走しかける下半身。
「……もう!やっぱダメ」
身をよじらせて、腕の中からでていこうとするにのを、慌ててつかまえた。
「なんだよ…体にはなんもしてねーじゃん」
「しそーだろ」
う……バレてる。
ラブラブしたい、と訴えてる俺の下半身をにのは膝で軽く蹴った。
突然の刺激に、腰がはねる。
……あぅ
情けない顔になった俺を、にのはジロリと見上げた。
だって…。
「だってぇ…世間一般の恋人たちは、今ごろみんなラブラブしてるよ?」
クリスマスだもん、と、いうと、にのはふるふる首をふった。
「俺には、クリスマスはない。今日は、あんたの誕生日だから、世間は関係ない」
「……」
イベントは関係ない、と断言するにの。
気にしてるのは俺だけか。
「にの……」
なんだか嬉しくなって、がばっと抱き寄せた。
「だ……っから!離れろ!」
「やだー🎵」
「触んな!」
にの…大好き!
20171224