Hello
第2章 happy * バンビズ
Jun
誕生日当日に、仕事休んで、なんて我が儘はいえないよね。
特に、翔くんは、今の時期本当に忙しいから。
だいたい、俺だって仕事だしさ。
<ごめん。明日の潤の誕生日、遅くなるかもしれないけど、必ず行くから>
<うん。大丈夫。待ってるよ>
分かってる。
翔くんが俺を大事に思ってくれてることも。
一緒にいたいと思ってくれてることも。
だけど……
俺は、もっともっと一緒にいたい。
もっともっと触れていたい。
どうしようもなく好きが溢れすぎて、俺ばかり翔くんを好きなんじゃないかなって、時々不安になるんだ……。
はあ……とため息をついて、寝返りをうった。
一人のベッドは広いよ。翔くん。
そのとき。
ガチャン、と物音がして。
パタパタパタと足音がしたかと思ったら、バターンとドアがあいて。
ビックリして飛び起きた。
「間に合った!」
「え。翔くん?!」
明日来るっていってなかった?
翔くんは、恥ずかしそうな笑みを浮かべながら、俺に歩み寄ってきて、ぽかんとベッドに座り込んでる俺に、ふわりと抱きついてきた。
「時計みて」
胸の中から囁かれ、反射的にその柔らかい体を抱き締めながら、サイドテーブルの時計に目をむける。
今まさに0時をさした。
「誕生日おめでとう。潤」
甘い声で、俺を見上げて、にこりと笑う翔くん。
「……」
なにこれ。
これをするために、わざわざ来てくれたの?
明日も朝早くから撮影なのに?
「……ありがと」
……嬉しすぎる。
俺は、ぎゅうっと翔くんを抱き締めた。
汗ばんだ首筋が、一生懸命走ってきてくれたことを物語ってる。
「寂しがってんじゃねえかなって思って」
翔くんが、ふっと笑った。
俺も笑った。
ありがと。翔くん。
大好きだよ。
fin. 2017 08 30 ❤