Hello
第21章 Valentine * 松兄と智
Satoshi
はあっ……と、何度も深呼吸をして、なんとか息を整えようとしても、彼の手つきに、あっさりと乱されて。
「……ぁっ……んんっ」
きゅっと前を握りこまれて、腰が浮いた。
「……智」
「っ……ぁあ……松兄……」
埋め込まれた彼の分身が、俺のなかで拍動してる。
甘い声で名を呼ばれ、ドクンドクンと下半身に血液がめぐった。
両手をさまよわせ、松兄の広い背中をかき抱いて顎をあげたら、しっとりと唇が重なる。
俺より少し高い体温。
汗ばんだ背中に、彼もこの情事を楽しんでくれているのが分かって、嬉しくなる。
口のなかをゆっくりと味わうように、松兄の舌が
蠢く。
俺は必死でその舌をおいかけた。
一筋の唾液が俺の口元をつたい、松兄はそれを吸い上げ、再び俺の唇にふたをする。
クチュっといういやらしい水音が、俺を弄る松兄の手の動きからも聞こえて、俺は、いっそう激しく松兄の舌を絡めとった。
「……はっ…んぅ」
甘く出てしまう声が恥ずかしくて、ぎゅっと目をつぶったら。
「目開けろよ」
唇を離され、囁かれた。
うっすらと目を開けたら、柔らかな小さな照明がともる部屋に、浮かび上がる愛する人。
鎖骨を伝う汗がセクシーだと、微笑んだら、
「お前の方が綺麗だ……智」
と、突き上げられた。
「ああっ」
思わず彼にしがみつく。
そのまま、ゆっくりと揺さぶられ、松兄の熱さを感じながら、……何度も溶け合った。
「……今何時」
タバコを吸う松兄に、問いかける。
「12時前だな」
「…今年のバレンタインも、もうすぐ終わっちゃうね」
いい、というのに、松兄は「この日は、恋人同士仲良くする日なんだ」と、毎年高級ホテルをおさえてくれる。
ホテルのレストランでディナー後、部屋で仲良く、俺とべったり過ごしたいんだそうだ。
イベントを大事にするキャラには見えなかっただけに、俺は嬉しいんだけどね。
枕に埋もれながら、松兄のタバコの香りを楽しんでると、まだ裸の俺の肩に、松兄が優しくシーツをひきあげてくれた。
「風邪ひくぞ」
「……大丈夫」
その、にっと笑う男前な笑顔が好きだよ。
「松兄」
「……?」
タバコをくわえて、こちらを振り返る顔も。
「……好きだよ」
松兄は、鮮やかに笑った。
「うしっ……もう一戦だ」
「…えっ?」
fin