Hello
第4章 MOON * 天然
Aiba
「どう?綺麗?」
窓辺でぼんやりと夜空を見上げてるリーダーに声をかけ、隣にそっと座った。
ソファーが、ふかりと動いて、リーダーもふわりと揺れる。
静かに薄い肩に手をまわすと、リーダーはコトンと俺の肩に頭をのせてきた。
そうして、
「……うん。きれーだな」
ぽつりといった。
部屋の照明はすべておとし、月明かりだけが降り注ぐ部屋。
今日は、中秋の名月。
凛と澄んだ秋の夜の空気のなか、どうせなら、と人口の光をおとしてみたら、自然の光が思いのほか明るくて、驚く。
肩にのせられたリーダーの表情をみたくて、目をやる。
白い光にふちどられ、浮かび上がってみえるリーダーのゆったりした顔は、とても綺麗で、ドキンとした。
しばらく見つめてたら、長いまつ毛が、ぱち……と、気だるげな動きをすることに気がついた。
「……眠くなった?」
笑いを含んで指摘すると、リーダーは、「うん……」といい、照れくさそうに俺を見上げた。
「……相葉ちゃんは、俺のことなんでも分かんだな」
「そうかな」
「そうだよ」
言って、肩にのせた頭をぐりぐりしてくるから、くすぐったくて笑ってしまう。
頭をふると、さっき洗ったばかりのシャンプーの香りがふわりと漂ってくる。
「体、平気?」
風呂場で一戦交えたら、リーダーが湯あたりしかけた。
あわてて冷やしたんだけど。
気だるい感じに、心配になる。
「鍛えてるから大丈夫……」
もう寝てしまいそうな声に、今度こそ笑ってしまった。
お月見はここまでだな。
「ベッド行こ。ちゃんと寝なきゃ」
促したら、リーダーは小さく首を振った。
「もう少し……このままがいい」
「しんどくないの?」
「相葉ちゃん、あったけーから気持ちいい」
……まあ。体温は高い方だけど。
リーダーは逆に低いよね。
この人は、小さくて冷たくて、あっためてあげなきゃって思っちゃうんだよなあ。
肩にまわした手に力をこめ、ぎゅうっと自分に密着させた。
ふふ、という小さな声とともに、俺の腰にリーダーの手がまわされた。
一番年上のくせに、一番することが幼い気がするこの人の虜になって、どれくらいたつだろうか。
聞こえ始めた寝息を感じながら、リーダーの髪の毛に鼻を埋めた。
……大好きだよ、と囁いて。
20171006