Hello
第5章 Are you ready? *バンビズ
Sho
俺は、ドラマ。潤は、映画。
それぞれの宣伝で二人ともメディア露出が半端ない。
家のBlu-rayも、毎日フル稼働中だ。
俺は、芋焼酎を手にソファに沈みこみ、リモコンで潤の番組をつけた。
全く共通点がなさそうな三人で行う、人気のトーク番組。
……あれ……?
鼻がグスグスいって、鼻声な潤。
こいつ風邪ひいてんじゃん…あ、もしかしてあの日のあとの収録か。
一ヶ月ほどまえ、風呂あがり、そのままベッドになだれこみ、朝までうっかり真っ裸で二人して寝てしまったことがあった。
その日の夜明けは、よりによって、季節外れに冷え込んで。
俺は、潤がかけてくれた薄い羽布団のおかげで無事だったが、潤は、盛大に風邪をひいたという事態に。
ただでさえ、やつは熱に弱いのに、お互い猛省した……というオチだ。
…トーク番組は、まずかったな……
喋りながら何度も水を飲んでる潤。
喉が乾くのか。痛いのか。
「……なにみてんの」
風呂上がりの潤が、ソファの後ろに立ってる。
俺は、ぐりんと首だけ上にむけて、ホカホカしてる潤を見つめた。
「おまえ、あの日、この収録だった?」
「……うん」
「しんどかったろ」
「……ちょっとだけね」
屈託なく笑って。
潤は、濡れた髪をくしゃっとタオルでかきあげた。
「誰かさんのせいで、真っ裸で寝ました。だから風邪引いた、なんて言えないじゃん」
いたずらっぽくいう潤に、俺は、苦笑いするしかない。
その襲った張本人は俺なんだけどさ。
しょうがないだろ。
お前が物凄く可愛かったんだ。
俺は、ちくっと言い返した。
「なんだよ。おまえだってノリノリだったじゃん」
「どうだったかなあー」
「すっとぼける気かよ?!」
笑いながら、隣に座った潤の肩に手をまわし、その薄く開いた唇を奪う。
「ん……」
緩く笑い、潤は、顔を背けるように離れた。
「翔くん、お酒臭い」
「……飲んでるもん」
「俺、今日は焼酎の気分じゃないな」
「やかましい」
俺は、潤を引き寄せて、わざとにグラスの焼酎を口に含み、口移しで流し込んだ。
「ん……んんっ」
「……つきあえよ」
「…お酒?エッチ?」
「……どっちも」
ふふ、と笑いあい、抱きしめあった。
夜はこれから。
20171009