テキストサイズ

僕のまーくん。

第22章 恋人と親友



歩いて先輩の家に向かう途中、
まーくんは、ずっと手を握ってくれてた。


「翔ちゃん~」


先輩んちの玄関の前でまーくんが、呼んだ。


ガチャ


先輩が出てきた。


「にの……ごめんなさい。」


ガバッと先輩が頭を深く下げた。


「怖い思いさせて本当にごめん!」


「……。」


僕が黙って先輩を見ていると
繋いだまーくんの手が、ぎゅうっと
してくれて


「ほら、かずくん?」


優しく促された。


「もう……いいです。頭上げて下さい先輩」


まーくんが、ぎゅっと手を繋いで
くれてたから僕は自然と先輩に向かって
言えたんだ。


先輩がゆっくり頭を上げて
僕を見た。

さっきまでの先輩とは、全然違って。

僕に、本当に悪いことしたと
ちゃんと伝わってきたから。


「もういいです。」


って、言えたんだ。


それに、まーくんが


「かずくん、良く言えました!」


って僕の頭をワシャワシャしてくれたから。

隣にいる太陽みたいに暖かい笑顔が
僕の傷付いた心を癒してくれたから。


先輩を許してあげることが出来た。



「翔ちゃん、僕のものだから。
ごめんね?」


まーくんが、先輩にそう言ってくれて。


「わかってる。にの、もう絶対
やんないから……本当にごめん!」


「諦めるよ」



寂しそうに、先輩が言ったのを
ふたりで聞いた。


「ふたり、見てたら俺も
彼女欲しくなった!
にのより、飛びっきり可愛い子
みつけてやる!」


そう言って先輩も笑った。


「先輩、潤くんは?」


僕が唐突に出したその名前に


「はぁ~あ?マジかよ!?」


先輩は、目をまん丸くして
すっとんきょうな声を上げた。


「翔ちゃん、松本くんいいじゃん!
美人だし?」


「いやいや、あいつ男だかんね?」



「僕も男ですけど……」



僕が、ボソッと言うと


「あっ?!そっか!だよな~」


ハハハってみんなして笑った。



「夏休み終わり頃、潤くん
誕生日ですよ?先輩、お祝い
してあげません?」


いきなりの僕の提案に先輩は
またまた

「はぁ~あ?」


ってさっきよりも大きな声を上げた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ