心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第3章 恋人
「あーさっぱりしたー」
しばらくすると
タオルで髪を拭きながら
上半身裸で
コータが風呂から出てきた
匂い立つ香り
しっかりとした
肩幅
どうしていいか
わからないまま
俺は
昨日借りたDVDを
見ながら
コータに話しかけた
「Tシャツ貸そうか?」
「あーはい。
でもまだいいかな。
まだ暑いんで」
早く
なんか着ろよ
「あ、ずるいなー
DVD一人で見てるし!」
そう言いながら
コータは
俺のすぐ隣に腰を下ろした
髪は拭き終えたのか
タオルは
首にかけたまま
風呂上がりのコータの
肌の熱が
俺の腕に伝わった
「あ、暑いなら
なんか冷たいもの…」
なんだか
たまらなくて
立とうとすると
「いいっす」
コータは俺の腕を握って
俺が立つのを制した
「俺、警戒されてる?
それとも
嫌われてます?」
「ち、違うんだ」
「じゃあ…
こーゆーの苦手ですか?」
「……そーだな(苦笑)
慣れてはいないよ。
コータみたいに
自然にはできない」
「俺だって
自然じゃないです」
「…そんなことないよ。
俺よりずっと自然だし
きっと慣れてる」
「男と二人きりでいることに?」
「…あぁ」
「じゃあ
どうしたらいいのか
わからないだけで
拒否してるんじゃないんですよね?
俺のこと」
「拒否なんてしてないよ。
うまく言えないけど…
コータと居ると
心地いいよ。
なんか
恋人と居るみたいだ。
(苦笑)
恋人といると
こーゆー感じなのかどうかも
よくは分からないけど」