心の隙間に…「君を好きにならない」スピンオフ
第1章 出会い
「おかしくなんか
ないですよ。
僕なんて
影から見てただけなのに
向井さんに
取られちゃったとか思って
すげー凹みましたから(苦笑)
ま、そんな訳で
俺は翔輝さんのこと
意外と見てたんですよ。
slowでも路上でも。
向井さんが
羨ましくて仕方なかったです」
「なんか恥ずかしいな」
「恥ずかしいことなんて
何もなかったですよ。
本当に
タイプなんで」
こっちが
恥ずかしくなるくらい
恥ずかしげもなく
真っ直ぐに
俺を気に入ってると言う
コータを見つめると
コータも
視線を外すことなく
俺を見つめた
「後悔したくないから
今頑張ってます。
だから引かないでください。
今日だけでもいいです。
俺
甘えられるの
好きです。
肩…貸します」
「コータ…」
振り向いてもらえない
司さんを
ずっと追いかけて
疲れたのかな…
俺を受け入れてくれる
コータの言葉に
俺は
頼りたくなっていた
そして
コータの優しさに
引き寄せられるように
コータの肩に
少しだけ頭を預けると
なんとも言えない
安堵感に包まれ
俺は
静かに
ゆっくりと
目を閉じた
あぁ
今日だけでもいい
このまま
俺を好きだと言ってくれる
男の側で
眠りたい
「嫌なら言って下さい」
耳元でそう囁かれた後
コータは
俺の肩を抱き寄せた
「翔輝さん
おやすみなさい」
おやすみ…コータ