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涙の先に見えるもの

第1章 涙の先に見えるもの

 私には秘密がある。その秘密のせいでもう恋人は作らない。そう決めている。

「はぁ……っ」

 オフィスの近くのコンビニのトイレで今日もまたため息を着く。ストッキングを脱ぎ出てきたのは、うさぎの絵が書かれたオムツカバー。履いているオムツはたっぷりと重みを含んでいる。そう、私の秘密とは、トイレをか我慢できないということ。切迫性尿失禁というやつだ。

 このことが原因で、昔、付き合った人と別れた。いざホテルで服を脱ぐ時、

「うわっ……二十歳も過ぎて、オムツとか気持ち悪っ……萎えたわ」

 それから彼からの連絡はなかった。今、二十七歳。私はこのまま一生、年老いて死んでいくしかないのか。親の結婚しないかの重圧。私の病気を知っているのに軽々しいその言葉にいつも吐き気がする。

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