オキナグサ
第5章 お付き合い
アプリで見てで知ってた通りの住所
マップで確認した通りの道
ネットで探した通りの建物
全部調べたものと同じ
あと知らないのは朝陽さんの家の中だけ
そんなことを考えながら俺は玄関を潜った
体調が悪いなんて嘘をついて
一刻も早く人目から遠ざけたかった、なんて言ったら朝陽さんはどんな顔するかな
「大丈夫か? 今水持ってくるから」
待って
行かないで
「! なんだ、どうした? 吐きそう?」
気持ち悪い以外言ってないから
色んなこと考えてくれてるんだろうな
掴んだ朝陽さんの手首を、締めすぎないように力を入れて握る
「いいから、座って」
「でも……」
「大丈夫だから」
リビングに置いてあったソファに座らせて、俺も一緒に座る
「ねぇ、さっきの男誰?」
「え……と、同級生の……」
「それは聞いた」
もっと他に言うことあるでしょ
そんな気持ちを込めて見つめると、朝陽さんが視線を彷徨わせる
「小学校から、大学までの同級生で……」
小学校から大学まで?
なにそれ、長すぎ
「腐れ縁みたいなものなんだが、ずっと一緒にいた友人なんだ……」
「友人?」